愛媛県の松山大学、甲斐朋香准教授ら数人のグループが始めた、新型コロナウイルスに感染した人や医療従事者に対する差別をなくす運動です。
柑橘類をイメージしたシトラス色で三つの輪のあるリボンを身につけて、その賛同者であることを示します。
リボンの三つの輪は、家庭と地域と職場(あるいは学校)を表し、感染者が回復して帰って来る時に、その三つの現場で、笑顔で「ただいま」「おかえり」と言い合える関係を提唱します。
他者を非難するギスギスした関係は、コロナ禍が終息しても、きっと修復できない禍根を残し、感染の隠蔽など、コロナ禍との闘いを阻害こそすれ、資することはありません。
見えないウイルスへの恐怖がその根底にあるのだとしても、最前線でこのウイルス禍と戦って下さっている医療従事者やその家族への仕打ちは、なされるべきではありません。
感染者の人たちもまた、特効薬の無い病気にかかってしまった恐怖と、体調の悪化に苛まれながら、精神的にも救いの無い状況に追い詰められて仕舞います。
大阪大学の三浦麻子教授の調査によると、新型コロナウイルスに感染した人に対し、「本人のせいだ、自業自得だ」と考える人の割合が、アメリカでは5%弱、イギリスでは3%強、中国では10%弱なのに対し、日本では15%強と、世界でも突出しています。
「ウイルスに感染しないように注意しましょう」という呼びかけの裏には、「ウイルスに感染した人は不注意な人だ」という意識が潜んでいます。
しかし今では、誰しも、たとえ行動を慎み、注意万全だと思っていても、感染してしまう可能性は十分にあります。
感染した人は、手厚い看護と、いたわりのまなざしの中で養生すべきではないでしょうか。
紀三井寺は、シトラスリボン運動に賛同します。
今こそ、観音様の慈悲の心を胸に、互いにいたわり合う関係を育みませんか。
それは、コロナ後に新たな価値を生むはずです。
新型コロナウイルスに感染した人や医療従事者、その家族・濃厚接触者への差別と偏見、誹謗中傷、いじめをやめましょう。
シトラスリボンの作り方
