紀三井寺は今年、令和二(二〇二〇)年、開創一二五〇年を迎えました。この五〇年に一度の節目には、秘仏御本尊・十一面観世音菩薩様、同じく秘仏(秘龕仏)の千手(せんじゅ)観世音菩薩様がご開帳されます。 去る三月十七日(火)午後三時、本堂奥の大光明殿 に、前田泰道貫主と、和歌山市御在住の三総代(有田眞一氏、島正博氏、林泰行氏)が入殿し、前田貫主が、世界的に蔓延し始めた新型コロナウイルス禍終息と御結縁者の福徳円満・諸願成就を祈念された後「御開帳! 御開帳!」と大音声にて承仕の僧侶を促し、本尊厨子の扉が開扉されました。 工芸作家・山西杏奈氏により新たに製作された荘厳簾の奥で厳かに並び立つ秘仏二尊が尊容を現すと、参会者からは感嘆の声が漏れ、この瞬間、春と秋計一九四日に及ぶ御本尊御開帳が開白されました。 翌三月十八日(水)より開始された特別拝観は、ウイルス感染防止に配慮して通気に勤め、午前十時から午後四時の開帳時間の間、整理券を配布して、二〇分ごとに二〇人に限り入堂頂く形式で行われました。 こうして一日最大三六〇人に制限された御拝観は、三月二十二日に開花宣言が出された桜が咲き進む中、二十一日間で四四一二名の御拝観者をお迎えしましたが、四月七日(火)、安倍首相より新型コロナウイルスに係る緊急事態宣言が大阪府、兵庫県にも発動されたのを受けて、近隣他府県の方々の移動を誘引して仕舞わぬよう、翌四月八日(水)より、この宣言が解除されるまで、現在停止されております。 五十年に一度の秘仏御本尊の御拝顔を楽しみにして頂いている皆様におかれては、再開後の御結縁をお待ち申し上げております。(予定日程は四面に詳細) 尚、江戸時代の本尊復刻印を押印した前田貫主揮毫の特別朱印(一〇〇〇円・一日三十三枚限定)も、現在頒布は中止され、御開帳再開後に再開されます。