龍宮の乙姫が龍灯を捧げて来山する日
それが8月9日です。
「一日参れば千日の功徳」
千日詣、この由緒深き故事を伝える為、『龍宮乙姫龍灯献上行脚』 が行われます。龍宮乙姫が、龍宮城の土産を持った女官達を従え、海の中でも 消えない灯明・龍灯を奉じて仏殿から本堂に至ります。先頭を行く龍宮の使者は 「龍宮乙姫、龍灯献上、一日千日、福徳招来!」と高唱して、乙姫の到着を 紀三井寺の観音様に知らせ、参詣者の幸せを祈ります。
午後8時00分より …
龍宮乙姫龍灯献上行脚
龍宮城の龍灯を携えた乙姫が女官を従え、仏殿から本堂へと石段を登ります。
(雨天中止 雨天の場合は、行脚は中止され本堂で龍灯が献上されます)
この行事の間約30分間、仏殿から本堂への石段は通行が制限されます。 何卒、御了承ください。
午後8時半頃より …
福棒投げ
「福壽来」と書かれた御幣を投げます。 拾った人には、福が授かるとの伝えあり。
他、終日本堂にて、厄除け等の御祈祷が行われます。
紀三井寺千日詣の由来 History of Sennichi mairi
今を去るおよそ1250年昔、紀三井寺は、唐の国からはるばる海を渡って来られました為光上人というお坊様によって開かれました。
為光上人は、ここ紀三井寺で、仏法が栄えることを念じて、大般若経という長いお経を書写し、その大行が満行した時、どこからともなく美しき乙女が現れ、こう申しました。
「お上人様、私は龍宮の乙姫です。長い間私ども龍宮の民は、貴方の様な徳の高いお坊様が、渚近く、名草の名で龍宮を見守るこの聖なる山に、観音様の霊場を建立されるのを待っておりました。今日8月9日は、その願いが果たされた喜びの日、毎年この日には欠かすことなく、龍宮から、海の中でも消えぬ龍灯を献上しに参ります。」
こう言い終えると、乙女は、龍の背中に乗って霊水・清浄水の辺りで身を消した、と伝えられます。
以来毎年この8月9日の朝まだき未明、和歌の浦から紀三井寺を望むと、本堂の左上に灯りが灯り、それは心の美しき者のみが見ることが出来るとされています。
そしてこの日は、一日のお詣りで千日分の功徳が頂ける特別な日となりました。